首枷

ペンダントを買った。その時考えた2つくらいのこと。
首から何かをぶら下げるのは、かつての恋人とお揃いだった物以来で、別れてから長いこと何も着けていなかったので、一体どんな物がいいのやら全く分からなかった。首飾りは、常に顔と一緒に見えるから、どうも自分の象徴の様に思えて来ていよいよどうしたらいいのかわからなくなった。昔つけていたそれは、石の付いた小さな輪っかで、何も示していない感じが安心してつけられた。とかなんとか考えていたらもう疲れてしまって、買ったのはカメラのモチーフだった。カメラには時間という概念が強く結びついているかんじがするから、と言い聞かせて、結局「かわいい」とかいう感覚を最優先してしまったような。しかしアクセサリーは、それ自体装飾が最優先であると思うし…ごにょごにょ…なんて誰も肯定も否定もしないような事にいいわけをかんがえる。
ペンダントを下げてみて、そのずしっとくる感じと金属のひんやりが、なんだか縛られている感じがして安心した。どこにもいけなくて、突拍子もないことができなくなるような縛られる感がなんだかとても安心した。わたしが首飾りを探していた理由はもしかしたらこれではないだろうか。一人が寂しいのは一向に構わないけれど、誰も自分をこの世に引き留めてくれないこの感じは嫌いだった。
明日からは首から似合わない首飾りがぶら下がる。